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わたしのシェアハウス生活 vol.1

本土から約60Km。日本海に浮かぶ隠岐島前地域。
そこでは、高校生が地域のシェアハウスで暮らしています。

高校生シェアハウスとは
令和4年6月より本格始動し、地域とともに成長する新たな学びの場を提供しています。

シェアハウスでは、一軒家を活用し、高校生と大人の島留学生/体験生が共同生活を送ります。食事や家事、生活の優先順位を自ら考え、責任を持つことで、自分の暮らしを自分でつくる力が育まれます。シェアハウスの一員として過ごす中で、他者への思いやりや協力の大切さを学びます。

また、地域に根ざした暮らしを通じて、地域住民との交流や関わりを深めながら、自律した生活を目指しています。地域の文化や人々に触れることで、地域を好きになり、自分の「好き」を活かして貢献する機会を得られます。


シェアハウスで楽しかったとか、思い出になっていることは何ですか?
 一番楽しかったのは登下校の自転車。あの時間が自分の中で重要だったなーって。ただ自転車を漕いでいるだけで頭を整理する時間ができたりとか、風に当たってる間に学校までの心づもりができたりとか。
 着いた時の切り替えができるから、シェアハウス生活の方がメリハリができてたように感じていて、登下校の時間、ちょうどいい距離でした。
 最初は遠いな、と思ったけど、いざ始まってみるとあの時間が自分の中で重要な役割になっていて。冬だったから景色もきれいだったし。
自転車を漕いでたら温かくなって、学校に着いた頃には自分が一番温かい人みたいな(笑)。

登下校のようす

 学校でも自宅生より寮生が多いから、寮と学校の区別があんまりつかないのが自分の中であったけど、シェアハウスでは休日も外に出やすかったです、ロケーション的に。

シェアメイトとの関わりはどんな感じですか?
 シェアハウスの冷蔵庫にホワイトボードがあって、そこで「これ使っていいですよ」ってコメントもらったり。なかなかみんなで会うことはできなかったけど、そのホワイトボードを通じてつながりがあった。それがすごい印象的。
 最初は全然会えないからシェアハウスしている感じがしないなと思っていたんですけど、過ごしていく中でちょっとずつ、間接的にではあるんだけど、ちゃんとなんかつながっている部分があった。自分のシェアハウス生活はそんな感じでした。

他の高校生と一緒に住んでみてどうでしたか?
 どっちも経験してみたかった。一人でも住んでみないと、どっちがいいとか、良さとかは分かりにくい。

さみしくなかったんですか?
 けっこう塾にいることが多くなって。塾でみんなと会えるから、塾に行く回数も増えて、それが新たなメリットでした。なかなか寮だと行かないから。

地域の行事とかには参加しましたか?
 区長さんが神社のお祭りのチラシを配ってくださったこともあったんですが、みんな用事があって行けなくて。地区のイベントは参加できませんでした。
 でも、シェアハウスしている時が高校3年間で一番イベントに参加しました。離島キッチンでのイベントとか、福祉施設ひまわりも近かったのでボランティアにも参加して、おはぎ作りをやったりとか。福井のしいたけ農家さんの手伝いとか。知々井とか行ったことがない地区にも行ったし、知夫にも結構行きました。

しいたけ農家さんの手伝い
お昼ごはんには、美味しい”しいたけ”が

なんでシェアハウスにいる時の方が地区のイベントに参加したんでしょう?
 なんでですかねー。シェアハウスだとしゃべる人がいないから、ひとりでいる時間が増えて、つまんなくなったんだと思う。
 北分とか、知々井とか今まで行ったことない場所にも行きました。知々井は自転車で行きました。公民館でひまわり食堂のお手伝いをしたり、地域の方から昔の話とかすごい聞きました。いまみたいに道路が整備されてなかったとか、島内生だけど高校の寮に入ってたとか。今とちょっと違う昔の話。 

 寮にいると、地域に出ようと思ってもみんなと話している間に気持ちがなくなっちゃう。

ごはんはどうしてましたか?自炊?
 夜は塾に行くので遅くて食べない日もあったり、朝は白ごはん、昼はお弁当みたいな生活でした。味噌汁とかも作ってました。
 お手伝いに参加したらごはん食べれる、みたいなイベントに惹かれたり。
商店にも行きました。毎日安いのないかな~って。見たらやっぱすごく高く感じて、お菓子って高いなーって。お菓子とこんなものが同じ値段なんだ、とか。金銭感覚がちょっとしっかりした。

 仕送りもありました。昆布送ってもらったり。とろろ昆布とか。味噌汁の具材として入れてました。

とある日のごはん

 今までで一番考えて生活してた。毎日食事どうするかとか、ひとりでいる時間も増えたから、今日をどう生きるかとか(笑)。いついつに料理を作って、いついつにあれやって、これやってとか。 

自分の暮らしが見えてきましたか?
 今まで一人の時間めっちゃ欲しいと思ってたけど、実際はそんなに欲しくないことがわかった。しゃべれる相手が近くにいないとさみしんです!人がいるほうが自分の精神が安定するということがわかりました。

 帰ったらシーンって静まりかえっていて、音を立てるのが自分しかいない。ひとり暮らしはできないと思った。大学に行ったらどうしようかなーって考えています。

百花さんは、どんな人にシェアハウスをおすすめしたいですか?
 おすすめしたいのは、日常に変化を求めている人とか、学校や寮に嫌気がさしている人とかかな。
 私の場合は登下校という時間ができて、心の準備ができた。よかったこととか、うれしかったこととかを振り返る時間もできたのが良かった。
 シェアハウスでは、なかなか一緒に過ごすことがない大人の島留学生と住めるから、もっと視野を広げたいとか人間関係を広げたい人にもおすすめしたいです。
 いろんなアンテナが広がる。私はシェアハウス生活で、イベントにはどんなものでも参加したくなったから、ずっと海士町つながり(Facebook)を見て、参加できそうなものは全部スケジュールに入れたりしてた。

 何かしたいという気持ちとアンテナがすごい敏感になるなって思います。

吉田百花(よしだももか)さん 
地域共創科3年/兵庫県出身


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登下校の時間が学校との切り替えのよい時間になったり、商店で金銭感覚を見直したり、自分にとって心地よい暮らし方を見つけたり、百花さんにとってシェアハウスは「自分」と向き合う機会になったようです。

時間の使い方も、ごはんをどう食べるかも、地区のイベントに参加するかどうかも、自分次第。どう暮らすのが自分にとって心地よいか?を体験しながら考えることができるのもシェアハウスの良いところです。