インタビュー#4 自分だけのガイドを作る場所(高校チーム・近藤)
インタビュー第4弾は、2024年4月から隠岐國学習センター(以下学習センター)高校チームで活動中の近藤亜紀さん。インタビューでは、学習センタースタッフとして迷いながら前に進んでいる経験を語ってくれました。
▼近藤さんが学習センターを選んだ理由はこちらから!
教育にワクワクしなくなってしまった
高校生の時に環境問題に関心を持って、大学生になってからESD(持続可能な開発のための教育)に出会って、そこから離島での公教育、隠岐島前高校と教育魅力化プロジェクトにたどりつきました。
そんな教育への熱い想いをもって来島したのに、なぜかこちらに来てから教育に関心が持てない、ワクワクしない自分になってしまった。直感型ですぐに行動するタイプだったのに動けない、意志がなくて漂っているような感じになってしまって、正直最初の数か月は自分が自分じゃないみたいでした。
来島前までに自分がいた環境は、自ら動かなくても学びの余地が大きくあったというか、学ぶための新しい情報がキャッチしやすくなっていて、あえて意識しなくても「あれもできる」「これもやってみたい」と行動するスイッチが入りやすかった。それって、自分はあくまでも受け身で「学ぶ側」にいて、周囲にある情報にスイッチを押されていただけなのでは?と最近気がつきました。学びを得る側として甘えていたんだなって。
学習センターに来てからは、「学ぶ側」ではなくて「作る側」に行かないといけないんだけど、できない。スキルがない。アイデアが思いつかない。どうしたらいいんだろう、何をしたらいいんだろうと悩む時間が続いて、ワクワクも止まってしまいました。
まずは、自分が「学ぶ側」に立っていた甘えを認識して、少しずつでも行動してみること、あとは生徒と関わること・生徒の学びを生み出す中で自分の存在意義というか、「あの人がいてくれてよかったな」と思ってもらえるためできることに集中することで、気持ちが良い方向に変化していったように思います。
友だちみたいに気軽に話しかけたい
学習センターでは、主に広報の仕事と数学の個別指導を担当しています。
広報はSNS運用を中心として、学習センターの取り組みの情報発信をしています。新しく学習センターのInstagramアカウントも立ち上げました。
学習センターをもっといろいろな人に届けたい。こんないい場所あるよ!って発信し続けることで、「学習センターちょっと気になるな」とアンテナにひっかかる人が少しずつでも増えていくと嬉しいです。
数学の個別指導は少人数の生徒を対象として実施しています。8月下旬からスタートしたばかりなので、まだこれからですが、生徒によって集中できる時間ややり方は違うと思うので、一人ひとりにあわせた対応を考えていきたいと思います。
日常的な生徒との関わりは、教科指導というよりは、生徒たちの話を聞くことが中心になっています。なんでもないような雑談をしたり、たまに深い話をしたり。いま学習センターにいる大人の島留学生の中では自分が最年少なので、より話しかけやすい雰囲気を出すようにしています。
「気軽に話しかける」って意識してやると結構難しい。ものすごく無理をしている訳ではないけれど、作られたフレンドリーさというフィルターがかかってしまう感覚もあって、結果としてぎこちないやりとりになってしまうこともありました。生徒とのコミュニケーションはいまでも試行錯誤中です。
「やってみたい」を形にする
まだ企画段階ですが、2学期には哲学対話の場を作りたい。
「甘えってダメなのか?」「ヒーローってなに?」とか日常にある普通を改めて考える場を作りたいと思い、高校チームのスタッフと相談しはじめました。
ひとつのテーマ、答えがない問いをみんなでひたすらに考えて言葉にしていく場で、それぞれが内面化していることを言語化するだけでなくて、「言葉にできると嬉しい」「言葉にできなくて悔しい」を体感する時間にできたらいいなと考えています。
生徒と一緒に問いを作るところから始めたいし、スタッフや他の大人の島留学生たちとも相談しながら決めていくことではありますが、こうやって「やってみたい」を形にできるチャンスがあるのも学習センターが持つ可能性、魅力のひとつだと思います。
いろんなタイプがいてもいい、いるといい場所
学習センターは公立塾だけど、教科学習を強いられている場所ではなくて、活用の方法が生徒に委ねられています。スタッフも同じで、やることが決まってなくて、各自に任されている部分が大きい。
わかりやすいガイドやマニュアルがない分、最初は迷ってしまうのだけど、人と話をしたり、アイデアを共有しながら「自分だけのガイド」を作る必要がある。私も「自分だけのガイド」を作るために、アイデアやイメージを人に話すことで、もともとの考えが数倍になって戻ってくる経験をしました。誰かに用意されたガイドより、自分で作ったガイドの方がずっと豊かになる気がします。
そういう他者の視点が大切な場所だからこそ、いろんなタイプのスタッフがいた方がいいと思う。にぎやかで明るいとか、グイグイ引っ張っていくようなタイプだけではなくて、物静かだったり慎重派なスタッフがいてもいい。いろいろな生徒がいるので、タイプが違うスタッフがいることで、見えてくることや寄り添える形があるんじゃないかと思います。
私たちのチームに入りませんか?
2025年春から学習センターの高校チームメンバーに参画してくれる人を募集しています。募集の詳細は採用ページよりご覧いただけます。
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なお、今回の募集は「大人の島留学」という、報酬のある制度を利用しての採用となります。エントリーに際しては大人の島留学に関するページも併せてご確認ください。