一人ひとりの顔を思い浮かべて働く| 知夫村で教育魅力化コーディネーターをしながら感じたこと
こんにちは。2020年4月~2024年3月まで知夫村教育魅力化コーディネーターとして働いていた竹村です。
「少人数を活かした取り組み」や「少人数だからこその温かみ」…なんて、よく言うけれど、それってけっきょくはどういうことなのでしょうか?
隠岐島前地域の中でも一番人口の少ない知夫村の人口は600人程
度。
今回は、知夫村で教育魅力化コーディネーターとして働いて感じた「600人だからこそ!」な部分をご紹介したいと思います。
人口600人の村の人との距離感
人口600人と聞くと、「600人全員が知り合いってこと?」とよく聞かれましたが、普段外に出ない方や、自分と接点を持てない場所で働いている方もいらっしゃるので、移住者の自分が600人全員と知り合いになることはありませんでした。
ただ、職場に小学校からの幼馴染がいるだとか、○○さんと▽▽さんは親戚関係であるだとか、●●さんと××さんは高校の頃同級生同士だとか…そんなことはよくあることで、自分からすると少したどれば誰かに必ず辿り着くような感覚でした。
近年は自分を含め移住者も増えてきましたが、昔から互いによく知っている人たちが同じ生活圏内で暮らしている村です。
日常生活の中での挨拶や立ち話は当たり前。
外に出て、知らない人としか出会わない・・・なんて日はないように思います。
教育委員会と子どもたちの距離ってこんなに近いんだ!?
知夫村に来て驚いたのは、教育委員会と小中学生の距離がとても近いこと。
自分が小中学生だった頃は、教育委員会なんて存在を意識したこともなかったのですが・・・。
知夫村には島で唯一の学校である知夫小中学校があります。
そして教育委員会の事務所がその小中学校の校舎内にあるのです。
(地域図書館&公民館も校舎内にあります!)
教育委員会の窓から、ランニングをする子どもたちを見て、「あの子、体力ついてきたね~」と話したり、「もっと本気で走れー!」と声援を送ったり・・・。
日々小中学生の様子を見守れるなんて、教育委員会の事務所としてはとても珍しいと思います
小学校1年生~中学3年生まで合わせて30人前後の小規模校だからこそ、一人ひとりの顔と名前はもちろん、性格も家族構成も、先生だけでなく教育委員会スタッフも把握しています。
みんなで子どもたちの変化・成長を見守る
学校の校舎内には先生と児童生徒だけではなく、教育委員会のスタッフや図書館を利用しに来た地域の方など、様々な方が出入りします。
図書館は子どもたちの憩いの場でもあり、地域の方と交わる場でもあるのです。
図書館で先生や保護者さんと出会った時は「○○くんがこの前こんなこと言ってくれたんですよ」など、日常のちょっとした子どもの様子を共有し合うこともあります。
子どもたちの変化や成長を多くの人で分かち合える環境があるって素敵ですよね。
一人ひとりの顔を思い浮かべながらつくる
コーディネーターとして、学習支援や教育フォーラムの運営、寮運営、授業づくりのサポートなどに携わります。
業務内容は異なりますが、何をする時も一人ひとりの顔を思い浮かべていたような気がします。
例えば放課後の学習支援がの活動で何をしようか考える時には「○○さんには、もっと粘り強く取り組む力をつけてほしいな」「△△くんはまずは演習量を増やしたほうがいいな」など、一人ひとりの特性を考えて、何をすればいいかを考えていました。
また、その一人ひとりが集まった時の集団の雰囲気も毎年変わります。
できるだけ集中して自分に合った課題に取り組む環境が最適だと思う時もあれば、学年を越えていっしょに学び合う環境が最適だと思う時もあります。
前年踏襲ではなく、毎年一人ひとりのことを考えながら、試行錯誤していくことが難しくもあり、面白さでもありました。
寮運営に関わる中で一番時間をかけていたのは、子どもたち一人ひとりの様子を共有することだったように思います。
その子に対して、大人として何ができるのか?大人が何かをすることが成長を妨げるのではないか?自立するためには、大人の支援が必要な時ではないか?
「子ども」という主語ではなく「○○さん」というその子自身を主語にして話し合ってきました。
どこかの誰かではない、「その子」について話すことは、すごく感情を揺さぶられるし、割り切れないこともたくさんあります。
でも、だからこそ「その子」の喜びや成長が心から嬉しいのだと思います。
少人数の知夫村で働く魅力
自分が知夫村の少人数を活かしきれたか…というと、そうとも言い切れないように思います。
学校と地域も、大人と子どももこんなに近くて、顔の見える関係性があって…という土壌はもっともっと活かせたはず。
それでも知夫村で働けば、絶対に誰かのことを思い浮かべながら働くことになります。
自分が言った言葉や、やったことを子どもたちはこんな風に感じていたんだ…ということを感じられることもあります。
知夫村でコーディネーターをする人は、誰かを思いながら、一人ひとりの成長や変化を感じながら働くことになると思います。
自分が知夫村の一員として、その場で生まれた変化や出来事に携われたという実感を得られると思います。
仲間を募集しています
現在、知夫村で働く「知夫村教育魅力化コーディネーター」を募集しています。
知夫村教育委員会に所属し、知夫小中学校・知夫村の教育魅力化コーディネーターとして働きます。
海士町・西ノ島町にも小中学校のコーディネーターがいますが、町村・学校ごとにその役割も、町村の抱える課題や魅力は異なります。
知夫村の課題・魅力とこの超・小規模感は切り離せないと思います。
人口600人だからこそ!のやりがいを感じてもらえたら嬉しいです。